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私の成分

今の私はこうやって出来あがったとさ。

神戸在住になった訳。最終回

神戸在住になった訳

その噂は、ジローさんと同じ団地に住んでいるお客様から届けられた。

そのお客様をカットしている間に 色々話しをしていると、その方がジローさんの実家と同じ棟に住んでいるのを知って、好奇心から聞いてみた。

「***って人 住んでますよね?」
「うん、居るよー。あそこの家、大変だったよねぇ、息子さんが亡くなって」


・・・え?

「え?どの息子さんですか?」

「それはわからないけど、30くらいの?奥さんもおってねぇ」

「なんで!?なんで亡くなったんですか?」

「なんか病気だったみたいだよ。呼吸困難になって、救急車呼んだけど間に合わなかったって」

・・・ほんまに?ほんまにジローさんやろか?
なんで?病気なんか持ってなかったのに。きっと間違いや。

 

そう考えてみたが、その何日か後、ジローさんの中学からの友達がカットに店に来たので 聞いてみた。

「ホンマです。俺お葬式行きましたもん。お母さん泣いてねぇ。可哀想でしたわ。

なんでか?なんかのアレルギーだったかで、息が出来なくなったらしいですわ」

確かこんな事を話してくれた。(この人は私とジローさんの関係を知らない)

ジローさんは床張りの仕事をしていたから、いつの間にか薬剤に反応するようになり、アレルギー体質になったのだろうか?分からない。

分かったのは、本当に亡くなったということ。

その時の私は、ただただ気の毒で、可哀想で仕方がなかった。だから、泣かなかった。
無念だろうなぁ、これからだったのになぁと、それだけ。

今も、こうやって思い返してみてもやっぱり可哀想だったとしか思わない。

あとは「ありがとう」かな。

出会ってくれて、神戸へ連れて来てくれて、優しくしてくれて、可愛がってくれて、愛情をたくさん与えてくれて、ありがとう。

また来世で、とは貴方も思わないでしょうが、この世で繋がれて良かった。

ありがとう。

さようなら。



そして私は今も、神戸で暮らしている。


了*