私の成分

今の私はこうやって出来あがったとさ。

若気の至り5

私達は話しをする為に、喫茶店へ入った。他に客は居なかった。

「もう一度付き合おう」
私を貶める内容の酷い手紙や、ストーカー紛い(その時代にはストーカーという言葉はなかったが)の事をしていながら、Oはそう言ったのだ。

嫌だとハッキリ言えば解決だ。

だが当時の私は、他人にハッキリ「嫌だ」とか「嫌いだ」と言えない人間だったのだ。あれだけ酷い事を書かれたにもかかわらず、だ。
断れずに、ただ黙り込んでいた。

すると、とうとうOは泣き出した。

大の男が泣くなんて!
止めてよ恥ずかしい!

と心の中では思ったが、周りに対して恥ずかしさ感じて、更にこのままではいつまで経っても帰れないと思った私は、ついに付き合う事を承諾してしまったのだった。

何やってるんだか・・・これを読んでいる人はそう呆れるだろう。
私も他人の話なら呆れると思う。馬鹿じゃないのって。

言い訳になるだろうが、怖かったんだ。どうしたらいいか分からなくて・・・
今なら分かるが、周りに悪者にされるのも嫌だったんだな。



付き合いを承諾してから、土日はOの家へ行くという生活をほとんど一年間続けた。

実際、外へデートに行った記憶がない。
せいぜいコンビニにご飯買いに行くくらい。

記憶を消去しただけかもしれないが、私も仕送りギリギリで、寮だしバイトもせずに(確か禁止)いたのでお金がなかった。
多分、向こうもそうだったんだろう。
私が好きで好きで仕方がない相手なら、それでも楽しいだろうが、そうじゃないんだから、つまらない時間と無駄な日々だ。
それでもそれなりに彼女役をこなしていたと思う。

しかし、今でも忘れない。
ある日、急に向こうの家に行きたくなくなって、今日は用事があるから行けない、と断った時の爽快感!
今日は何してもいいんだ!うわー、何しよう?

実家を出てからずっと、
学校とOの家ばかりだった。
それだけ縛られていた(自分を縛っていた)という事に気づいた。